9-5. cDNAの合成
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RNAを鋳型に逆転写酵素で一本鎖の相補的DNA(cDNA)をつくり、それを二本鎖cDNAに変換してベクターに組込む
cDNA合成はタンパク質産生に必須の技術
1) 真核生物mRNAの調製
mRNA由来cDNAを得るためにはmRNAの精製が必要となる
真核生物のmRNAは5'末端にキャップ構造、3’末端にポリA鎖をもつので、ポリA鎖のついたRNAを塩存在下でオリゴdTセルロースなどに結合させ、水で溶出すると精製mRNAが得られる
2) cDNAの合成
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一本鎖目のDNA合成
レトロウイルス由来の逆転写酵素を使って、DNAプライマーを鋳型にアニール後、DNA合成を行う
全長に近いcDNAがほしい場合は、ポリA鎖にアニールするオリゴdTをプライマーに使う
逆転写酵素はRNaseH活性をもつので、反応に伴って、鋳型RNAが切断・分解されていく
ポリA鎖のないRNAを鋳型にする場合はランダムプライマーで合成を始める
RNaseHがcDNA合成中に働くと、鋳型RNAが切断されて長いcDNAができにくいため、遺伝子を改変してつくったRNaseH活性をもたない酵素が使われる場合もある
二本鎖目DNAの普遍的合成
大腸菌のDNA pol Iで二本鎖目を合成する(ニックトランスレーションを行う)
断片化されてDNA上に残ったRNAがプライマーとして働くが、RNAをRNaseHかアルカリで積極的に断片化してプライマーにすることもある
RNAは酵素反応の過程で除かれる
DNAリガーゼでニック部分をつなぎ、最後にT4DNAポリメラーゼで末端を平滑化する
完全長CDNAの合成
調製したmRNA標品中には断片化したものが多数あるため、オリゴdTからふつうにcDNA合成すると、RNAの5'末端側が失われた短いcDNAが大量にできてしまう
この問題を回避する方法の1つにオリゴキャップ法がある
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この方法では、cDNA合成の前にキャップをホスファターゼとピロホスファターゼを使って除き(ただし、リン酸基が1個は残る)、そこに特定のRNAオリゴ(ヌクレオチド)を連結する
一本鎖目cDNA合成はオリゴdTをプライマーにし、二本鎖目の合成はRNAオリゴとアニールする特定基配列のDNAオリゴをプライマーにする
両プライマーに制限酵素認識部位を入れておき、それを利用してベクターに組込む
特定部分の二本鎖合成
cDNA配列が既知で、cDNAの特異的領域を増幅したい場合は、既知配列をもとにした特定のプライマーでDNAを合成する